『バンクーバーで見た「I'm pregnant(妊娠中)」と訴える路上ホームレスの結末』
こんにちは。
バンクーバー帰りのEISAKUです。
私の留学していたバンクーバーは「住みやすい都市ランキング1位!」に輝いた事もある、とてもすてきな街です。
広大な自然、フレンドリーで温厚な国民性などすばらしいポイントはたくさんあります。
が、しかし!
バンクーバーがシリアスなホームレス問題を抱えていることはあまり知られていません。
City of Vancouverの調査報告によると、バンクーバーには3000人弱のホームレスがいると言われています。
街を歩けば、至る所にホームレスがはびこっていて、お金や食べ物の恵みを待っています。
日本ではあまり考えられませんが、通りすがりの現地の人々は、けっこうそのホームレスたちに、小銭や食べ物を渡したりしています。
(財布を持たずにポケットに小銭を入れている人が多いのは、すぐにパッと出してホームレスの人たちに渡せるためなのかも・・・?)
なんでも現地はキリスト教徒が多く、キリスト教の信条として「家族と他人を差別せず愛しなさい」という「人間愛」が根本にあるのだそう。
そんなこんなで、私自身も1年間のバンクーバー生活の中で、何百人(いや何千人?)のホームレスを見ました。
その中でも強烈に印象的だった一人のホームレスの女性をご紹介します。
あれはちょうどバンクーバーに着いたばかりの2014年5月の半ば頃でした。
ダウンタウンにある語学学校に通うために、ロブソンストリートという一番栄えている通りを歩いている時に、珍しく女性のホームレスを見かけました。
そして、この女性が持っていた段ボールのメッセージボードに書かれていた内容に衝撃を受けました。
「I'm pregnant」
つまり 妊娠 していると!
それを見たとき色んなことが脳裏をよぎりました。
お腹の赤ちゃんの健康状態、栄養状態、今何ヶ月?、いざ生まれる時の病院等の問題etc...
見たところお母さんのお腹はけっこうな勢いで膨らんでいました。
素直な私は全てを鵜呑みにして、たくさんの心配をしました。
心配はしたものの、当の本人は気楽そうに、来る日も来る日も寝袋にくるまって、ゴリゴリのジャンクフードを頬張り、タバコをふかしています。
そんな調子なので、こちら側にも謎の安心感が生まれ、特に心配することもなくなりました。
語学学校を卒業した私は、用がない限りロブソンストリートを通らなくなったので、すっかりそのホームレスの女性のことを忘れていました。
そして月日が経ち、バンクーバーに来てから約10ヶ月が過ぎようとしていたある春の日に、偶然ロブソンストリートを歩いていた私は、例のホームレスを目にしました。
・・・・・
Umm...
What the hell!?
そこには以前と変わらぬ彼女の姿。。。
なんと彼女は未だに、絶賛妊娠中♫だったのです。
そんなはずはないと思い、お腹の大きさを確認しました。
あの時とちょうど同じサイズ!
さらにはお腹の赤ちゃんを気にする素振りもなく、変わらぬジャンキーぶり。
・・・・・・
・・・・・・
もう勘のいい方は悟られましたよね?
そうです。
彼女は妊娠などしていないのです。
「I'm pregnant」とアピールすることで、シンパシーを集めて救いを乞うていただけなのです。
やっと私は全てを理解しました。
生き延びるための一つの知恵なのでしょうが、バンクーバーにはこうした戦術家のホームレスの方々がたくさんいました。
ここには書きませんが他にも、「してやられた」と思うホームレスの方たちを複数見かけました。
バンクーバーのホームレスの人たちは、気さくでワイワイと、日々楽しそうに生きておられる印象を受けたことも、私にとっては新鮮で驚かれたされたことの一つでした。
もちろん本当に妊娠しているホームレスの方はおられると思います。
しかし、私の見た彼女はこの先も出産することなく妊娠を続けていくのでしょう。
こんな体験ができるのも留学の醍醐味ですよね。
ご達者で。